解脱された。悟りを開かれた。聖人になられた。ということで、お釈迦様の話される言葉は聞く者には真理であり、絶対正しいと思われていた。しかしお釈迦様は実は、相手によって答えることが180度違ったりしているのである。何故なのか。それはお釈迦様がその人のレベルに合わせて答えているからだ。例えば家庭教師でも、小学生に教えるのと高校生に教えるのでは、教え方や内容に雲泥の差があるのと一緒だ。以前に「人を見て法を説け」で述べたように、TPOを考えそれに合わせて人と接し、話すべきことを話すのが肝要である。TPO、つまりTime(時)・Place(場所)・Occasion(状況)。ビジネスの世界では大切な要素で、TPOを考慮しなかったために、思わぬ失敗を犯したという事例は枚挙にいとまがない。
また、同じ話を聞いても、同じ現実を見ても、受け取り方は人それぞれで、これもまた興味深い。例えば、こんな例がある。大酒飲みで酒癖の悪い父親に育てられた、2人の兄弟がいた。父親は酔っ払うと決まって子供達に、他人事のようにこう愚痴った。「どうせお前らはくだらない世の中で、くだらない大人にしかなれない!」やがてこの兄弟は社会人になり、兄は弁護士となり豊かな暮らしや地位・名誉も手に入れ、かたや弟は定職にも就かずその日の食事もままならない貧乏生活をしていた。ある人がこの2人に同じ質問をした。「どうして今の人生を送るようになったのですか」と。すると2人はなんと、同じ答えを返したのだ。「あんな親父の元で育ったからだ!」事実は父親が愚痴しかこぼさないような、しょうがない大酒飲みであることだ。兄は「あんな親父の元で育ったから、私は誰よりも勉強し、高い地位を得、幸せな家庭を築くために頑張ってきたんだ」と、父親を反面教師として、ああなっちゃいけないと前向きに捉えた。一方弟は「あんな父親の元で育ったから、俺はまともな職にも就けず、こうした生活をするようになったんだ」と、堕落した自分を父親のせいにして、一向に働こうとしなかったのである。
少し極端な例ではあるが、このようにひとつの事実からでも人の受け取り方によって、人生までも変わってしまうことがあるのだ。
ならば、成功者の人生を歩むには、どうすればいいか。成功するためのTPOをわきま弁えればいいのだ。すでに皆さんは、この直伝web講座で多くの成功理論を学び、実践されているが、どの案件を重点的に行ない、どのくらいの品質・時間やればいいのか、あるいは人と接する時、どのようなテクニックを使えばいいのかなど、実際の場面で迷われることがあるかも知れない。何が正解何だろうと。でも、それが普通なのだ。この世に絶対などというものはないのだ。むしろ矛盾だらけである。だからひとつのことに拘らず、臨機応変に対応すればいい。その適応力を身に付けるのだ。例え失敗しても、次に同じ失敗を繰り返さなければ、それでいいのだ。
TPOに合わせて人に接しろ!
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