初志貫徹させよ

私の好きな言葉に「初志貫徹」というものがある。意味は解説するまでもないだろう。テレビで高校野球などを見ても、いったん定めた目的に向かい、猪突猛進する姿は美しささえ感じる。

願望成就も同じである。目的を定めたら、容易にそれを変更せずに、周囲の雑音にも耳を貸さず、ひたすら目的に向かって邁進する。これが理想的な姿であると私は考える。

確かに、設定した目的に固執しすぎて、状況の変化等に対応できないならばそれも問題がある。しかしだからと言って、一度設定した目的や目標を安易に放棄することも看過できない。

安易な目的の放棄は、今後に悪影響をもたらす。つまり、容易に諦める習慣がついてしまうのである。

考えてみてほしい。あなたは、一度でも客観的に無理と思えることを、頑なな信念のもと成就させたことがあるだろうか。例えば、実力的に絶対に無理と思われる高校や大学の受験のために、一心不乱に机に向かい合格を勝ち取ったとか、誰がやっても難しいプロジェクトを夜も寝ないで成し遂げたとかである。

目的や目標は高ければ高いほど、それを実現したときの満足感、充足感は計りしれない。私自身も経験があるが、本当に気持ちいい。そして、快感はタチが悪いものである。もう一度味わおうと、再び困難な目標を設定してしまうからだ。

なぜ私がこんな話をするかというと、みなさんにも成功の果実の甘美さを味わってほしいからである。だから、安易に目標の変更や妥協をしてほしくないのだ。

とにかく雨が降ろうが風が吹こうが、周りからは馬鹿呼ばわりされようが、一心不乱に取り組んでほしい。こだわってほしい。

ただし、注意が必要なのは対人関係である。

人の考え方は千差万別であり、一人として自分とまったく同じ考え方、価値観をもった人間はこの世にいない。また、この地球上には数百億の人間が住み、国家、民族、人種、宗教など様々なイデオロギーが存在し、混沌としている。

こんな小さな日本でもそうである。数え切れないほどの方言や宗教が存在し、地域ごとに様々な風習もある。

かかる状態で、自分の意見や価値観を貫き通すこと自体、原則として無理があるのだ。そのような直線的思考では、人間関係は円滑にならない。

とはいっても、闇雲に他者に迎合せよと言うわけではない。できるだけ多くの人の意見に耳を傾けた上で、譲れない部分は譲らない。修正する部分は修正する。そんな姿勢が人間関係には求められるのである。

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