振り子の原理を利用せよ

今回は振り子の原理について話そう。

振り子の原理とは、人生は振り子のように運・不運の間を揺れ動くことであり、プラスの方向に振れた振り子は必ずマイナスの方向に振れるという原理である。逆もまたしかりである。そして、その振幅が大きければ大きいほど振り子の反動も大きい。

一般的に、振り子がよく振れる人は波瀾万丈の人生を送っているといえる。私の半生を例に挙げる。私は事業の失敗から若くして五億円の借金を背負い、ホームレスにまで落ちぶれたが、その後一念奮起し、僅か二年間で借金を完済し、四年で十億稼いだ。まさに、一度大きくマイナスに振れた振り子が、その反動でプラスに大きく振れたのである。

私とは逆に、若い頃大成功を収めたり脚光を浴びた人が、その後悲惨な末路を辿ることもあるが、これも振り子の原理である。

では、現在振り子が大きくマイナスに振れている人、すなわち多額の借金を背負ったり、大病を患ったり、不幸が続いたりとどん底の人生を送っている人は、今後必ず成功したり充実した人生を送れることになるのか。単純に振り子の原理を当てはめれば、そうなるのが帰結であろう。

しかし、この原理はそれほど単純なものではない。マイナスに振れた振り子がプラスに振れるのは当然の帰結ではないのだ。つまり、振り子がマイナスに振れっぱなしの場合もあるということだ。哀れな人生である。一生どん底の人生を送り、辛酸を舐め続けなければならない。

振り子をプラスに振るためには徳が必要なのである。マイナスに振れたまま戻ってこないという人は、徳が足りないのである。振り子はただ黙っていてもプラスに振れないのである。自らの徳によりプラスに振らなければならないのである。

この意味でも、私は常々徳を積めと言うのだ。

だが、この理論は、視点を変えれば次のような帰結も導きうる。すなわち、振り子がプラスに振れた場合でも、徳積みを怠らなければマイナスには振れない、プラスに振れたままということだ。

振り子が大きくプラスに振れた場合、その成功の度合が大きければ大きいほどその反動も大きくなる。これは、成功者にとって非常に脅威となる。前述した、後に没落した成功者もこれを阻止できなかったからである。

成功者もこれに慢心せず、施しや感謝という形で他人に還元することで徳を積めば、振り子の反動を軽減でき常に振り子をプラスに振れた状態を維持できるということである。

幸運の後には不幸が訪れる、また不幸の後には幸運が訪れる振り子の原理は、徳積みをすれば必然ではなく宿命でもなくなる。自分に都合よく利用できるのだ。

現在不幸を感じている人よ、プラスに振るために徳を積もう。現在幸福を感じている人よ、二度とマイナスに振れないよう徳を積もう。

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