仕事柄よく書店に行くが、表紙がハードブックスタイルで立派でセンスもいいのだけど、文章は何も書いてない、中身が真っ白という本を売っている。日記帳である。結構売れているらしい。人間とは忘れる動物である。一ヶ月前に何処へ行き誰と会い、その時の自分の気分はどうだったのか。嬉しいことがあってウキウキした気分だったのか、それとも嫌なことがあって落ち込んでいたのか。そこまで覚えているのは、余程の出来事があった日か記念日でもない限り普通は容易ではない。その意味でも、時折過去を振り返ることは意味のあることである。自分のこれからのために。
例えば、とても嫌な気分で仕事を終わらせ帰宅した夜。入浴しながら今日あったことを思い出してみる。(大きなクレームがあって電話で平謝りしていたら、これから来いって言われて先方の社長さん宅へ行って物凄く怒鳴られて。でも社長の奥さんはお茶を入れ替えてくれたり、怒っている社長を尻目に微笑んでくれたり。あれ、嬉しかったな)など、落ち込んでいた気持ちを明るくする材料が転がっているものだ。
また、日記を書くことも有効な手段である。私も、今はスケジュール管理程度だが、かつてサラリーマン時代は日記を付けていた。それが今でも活きている。情報としての価値というより、モチベーションの向上に繋がり、明日への活力が生まれるのだ。
ある夜、仕事のことで色々考え寝付けない時に、ふと昔の日記帳を見つけ読み返した。そしてあるページで目が留まった。
「○月△△日一日晴天 今日やっとA様からご契約をいただいた。契約書を書き終えた後”あなたを気に入ったから契約したのよ。他の人だったら契約しなかったわ。一生お付き合いしてくださいね。約束よ。”と言われた。胸が熱くなった。この仕事をやっていて本当に良かった。よし。明日からまた頑張るぞ!」
この時の気持ちを思い起こし、今まで落ち込んでいた気分が一気に吹き飛び、次の日からの営業のテンションも上がり、モチベーションは最高だ。自ずと成績はアップ、一ヵ月後にはトップの成績を獲得することができたのだ。その後も、大きなスランプはなかった。
このような効果が日記にはある訳だが、往々にして三日坊主に陥りやすい。毎日続けることが難しく、また中々書くことが浮かばない場合も多い。何でもいいのだ。格好を付けることなど何もない。「今日隣りの駅で上手くて安い定食屋を発見!」「今日雨だったけど、新しい傘が嬉しそうだった」こんな一言で良いのだ。とにかく日記を付ける習慣を付けることが肝心なのだ。書いていく内に必ず、ドンドン書けるようになってくる。どうしても書けないという人は、テープに声を録音したり、ビデオで自分を録画すればいいのだ。
現代人は多忙な日々を送っている。だからこそ、自分自身を振り返り、反省とモチベーションをキープすることは、成功者となるために必要なのだ。
自分を振り返る習慣を付けろ。
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