かの宮本武蔵が残した言葉に「我以外、皆師」というものがある。自分以外の人はみな師匠であるという意だ。直訳的に解釈すれば、どんな人からでも学ぶことはあるということだが、もう少し掘り下げると、自分に対する他人の評価や意見を聞き、そこから学ぶべきとも解釈できる。
自分の欠点や短所は自分ではなかなか気づかないものだ。うすうす気づいていたとしても、それを認めたくないとか、人に知られたくないという気持ちが働いてしまい目をそらしがちになってしまう。
だからこそ、他人に自分の欠点や短所などの悪いところを指摘してもらうといいのだ。もちろん一人に指摘されるよりも複数の方がいい。客観性が高まり、より本質的な改善ができるからだ。
この場合、まず第一に必要となるのが謙虚さと勇気である。
他人に自分の欠点を指摘されたら誰も面白いはずはない。しかし、そこで腹を立てていては、その欠点は永久に改善されない。もちろん、根拠のない中傷や誹謗といった場合もあるが、複数人が指摘する欠点であれば、何らかの根拠はあるはずだ。
そして、そのような指摘を受け入れることは、非常に勇気がいる。いままで自分が築き上げてきた価値観さえも崩さなければならないからだ。当然この勇気を持てない者は進化向上できない。
第二に必要なのが、反省することである。これまでの自分を反省し、今後欠点や短所を直していくには何が必要か、どうすればいいかなどを深く考えるのだ。やみくもに欠点を直そうと行動に出ても徒労に終わってしまうことが多いため、行動に出る前にしっかりと考えておくのだ。
第三に必要なのが、すぐに改善のための行動を起こすことだ。
「鉄は熱いうちに叩け」というが、欠点を一旦認識して改善しようと思っても、ぐずぐずとしていると熱意が冷め、結局放置してしまうことが多々ある。そのため速やかな行動が要求されるのだ。前記では、行動に出る前によく考えよといったが、だからといって、いつまでもダラダラと考えるばかりではいけない。この意味で、迅速かつ的確に結論を導ける判断力も必要なのである。
人間には快楽原則があり、辛いことや苦しいことよりも楽な方向へ進みがちな傾向にある。だが、常に楽な方向へ進んでいたら、進化向上などあり得ない。欠点や短所の存在自体はやむを得ない。しかし、それを改善して進化向上することが重要であり、この繰り返しが人生とさえいえるのである。
常日頃から、「我以外、皆師」という意識をもって、進化向上を心がけなさい。
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