新聞やニュースで目にしない日はないように、「ストレス」という言葉は日本語として定着したといっていいだろう。ストレスは、多くの病気を引き起こすとともに、自殺や犯罪の原因にもなっている。
しかし、これだけ景気が低迷している現在である。ろくに休みもなしに働いたり、長時間にわたりサービス残業をしている方々も多いと思う。企業の雇用率もかつてないほど低下している。つまり、みなこのような状況では、「職があるだけ、まだまし」と考え、過酷な労働条件を受け入れているのである。
そして、かかる経済状況では、人の心も荒れ果てる。当然、人間関係でも軋轢が生じ、新たなストレスとなる。
また、これだけ科学技術が発展した時代である。パソコンなどの便利な機器が職場や家庭に溢れている。生活面や仕事面で便利になった反面、皮肉なことにこれらの機器はわれわれにストレスをもたらしているのも事実である。私自身、本の執筆などで長時間パソコンに向かっていると、ひどくストレスを感じることがある。
言うまでもないが、発展した文化は後戻りしない。このような状況では、もはや社会生活上のストレスは避けられないのだ。むしろ、如何にストレスと共存していくかが、われわれに与えられた宿題となる。
では、どうストレスに対処していくか。私がよく行う「大癒法」というストレス対処法をみなさんに授けよう。大癒法は、自律訓練法の一つであり、心身の深い安楽と安息を得ることができ、蓄積した疲労を解消する効果がある。
方法は簡単である。リラックスした状態で、身体を床や布団、ベットなどの上に横たえ、身体がどんどん下のほうに沈んでいくイメージをする。ちょうど、身体が床や布団に吸い込まれていくイメージである。
このイメージングが十分にできるようになれば、通常、両手や両足が、重くなったような感覚を覚え、次にその重みに身体を委ねる。すると、とにかく遥か下方まで身体が落ちていく感じを味わうことになる。
たったこれだけで、不思議とたまっていた疲労感がすべて取り去られる。これを一日数分継続するだけでストレスも緩和される。普段ストレスに苛まれていると思う方は、ぜひ試してほしい。
現代人の社会生活は、ストレスとの戦いでもある。戦いに敗れ、死を選ぶものさえ少なくない。だが、ちょっとした日常の工夫でストレスは軽減できるのも事実である。みなさんには、ストレスとうまく共存し、輝ける未来を手にしてほしい。
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